「子どもたちの四季」温かくて優しくて美しい本

娘の幼稚園の主任先生がぼくにと本を貸してくださった。先生のおすすめ本とのこと。ありがたく拝読させていただきました。

ぼくは地域の子供たちに向けて演奏したり、無料子どもギター塾のようなものをやらせていただいてもいるが、教育者でもなんでもなくただ辺境でギターをやっているだけの人間である。子供が生まれて「教育」とか「発達」などのワードにアンテナが高まるようになったにすぎない。

そんなぼくにとっては、幼い子供の世界はまったくのカルチャーショックであった。なんというか「生きている世界が違う」。その世界観の違いに戸惑う新米ママ&パパさんも多いのではないだろうか、などと思う。少なくともぼくはそうだった。

紹介させていただく「子どもたちの四季」は、幼稚園の先生が温かくまた感性豊かに子供たちに寄り添いながら、四季折々の園での生活などについて書かれたもの。読んでいるあいだ、ぼくは温かくて優しくて美しい情景をずっと感じていた。オトナの世界の住人であるぼくにとっては、幼い子供たちの住んでいる世界を垣間見させてくれる本であった。

 

子どもたちの四季 宮里暁美(著)主婦の友社

幼い子供を育てるぼくのような親は、どんな風に日々の時間を過ごしているだろう。四季の変化を感じているだろうか。子供が感じている風や匂いに自分の意識を向けられる余裕はあるだろうか。少なくともぼくは、時間や規則、人との関係などに追われてしまって、その感性を忘れてしまうときが多いように思う。そんなぼくに対して子供は「あれっ?」と思うときがけっこうあるのかもしれない。生きている世界が違うとはまさにこのことである。

 

ーーーぼくが感じたカルチャーショックについて、「なんでだろう?」と父親になったばかりの頃に考えたことがある。その疑問に一つの答えが出たのは、子犬を迎えてからであった。子犬の成長を見ていると、娘の成長と重なるような部分も多かった。そして「なるほど、子供や犬は自然なんだな」と気づかされた。考えてみれば当たり前なのだが、彼らは大人の社会の住人ではなく、自然が設定した摂理のようなものに属している。ぼく自身が大人の社会にどっぷり浸っていたせいで、ぼくは自分の側から対象を見ることしかできていなかった。むしろ彼らの世界が本来ヒトがいた世界なのかもしれないのに。

ヒトは社会を築いてから、自然の世界を大人になっていくにつれて分離するようになってしまったのかもしれない。ぼくにとって子供や犬は、本来いた世界を垣間見させてくれるありがたい存在である。